0.03秒で光は9000kmしか進まない

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090725/fnc0907251249007-n1.htm

巨額利益生む0.03秒 米ゴールドマン
24日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、米金融大手ゴールドマン・サックスなどが高性能コンピューターを駆使し、他の投資家よりも一瞬早く市場の情報を得た上で、こうした情報を利用した株式の売買を超高速で行い、巨額の利益を上げていると報じた。

 こうした取引は情報技術(IT)システムに巨額の投資を行えるゴールドマンなどに限られ、一般投資家には不可能なため、同紙は「不公正」と批判。米証券取引委員会(SEC)も調査を始めた。

 ナスダック市場など米国の一部取引所は一定の料金を受け取る見返りに、特定のトレーダーに0.03秒ほど早く市場情報を与えている。ゴールドマンなどは超高速で演算処理できる高性能コンピューターを使ってこうした情報を分析、他の投資家を出し抜く形で取引を行っているという。(共同)

しかし Goldman は儲けてるから嫌われてるねぇ。
取引所も運営費が掛かるし、サービスを良くしないと顧客を取られる => 流通量低下 => さびれる なので、大口客には色々と便宜を図ります。逆に大口客は大量に売り買いすることで市場に流通量を提供するわけ (market maker といいます)。
お金取って情報を早く回すのは不公平だ!というのは、公平大好きなアメリカでは確かに訴求力がありますね。もしかしたらこういうサービスはやめなさい、ということになるかもしれません。ただ、上にも書いたように、市場としての魅了がなくなっちゃうから、横並びでやらないと意味が無い。で、じゃあ 0.03秒をやめたらどうなるかって言うと、別に一般投資家には何の影響もありません。Goldman を含む大口はめちゃくちゃ IT に金掛けてますから、同時に情報を得られたからってそもそも勝負にならない。Goldman と同じ土俵に立つことになって嬉しいのは、アルゴリズミックなトレードで市場にじっと張り付いてるような人たち。そういう方は一般投資家とは言わない、よね?
0.03秒ですが、これは、投資銀行とかにとっては全く一瞬じゃないんですよ。将棋だと数手先が見えてる感じ。だから、もしある社がこのサービスを買っているのなら、他の社も競争のためには買わないと投資銀行としてやっていけない。だから、ある意味市場が大口客の軍拡競争を誘って漁夫の利を得る道具なんじゃないかな?私が勤めている会社がこの 0.03秒を買っているかどうかは私は知りませんけど。
ちなみに 0.03秒で光は 9000km 位*しか*進みません。地球の裏から売買してる人でこの0.03秒がずるいと思っている人は、行き帰りの時間ですでに不利。まずは市場の隣に引っ越しましょう。