給付金のインセンティブ: 独り者はやっぱり馬鹿を見る

与党によれば、金持ちは奥ゆかしいので給付金を辞退するそうだが、どうだろうか。

高収入のある人が、給付金を貰うためのインセンティブを考えてみた。まあ、要するに、役所に並ぶか、その時間仕事するか、どっちが得か計算してみましょうということだ。一部では金持ちは忙しいから並ばないだろうと言われているが、、、実際、そうだろうか。

n+m人家庭で、n人が12000円、m人が子供と老人で、12000+8000=20000円貰えるとする。合計は家庭全体で 12000n+20000m。おそらく、8000円多く貰える子供と老人に関しては代理で手続きが済むので、n人で n+m 人の手続きが出来るとすると、一人の手間で、(12000(n+m) + 8000m)/n 手に入れることが出来る。これを、一人役所で h 時間待って手に入れられるとすれば、お役所で座って(か立ってか知らないが)待つ、という作業に支払われる時給は、(12000(n+m) + 8000m)/n/h。

手続きをする n 人が同じ給料の仕事についているとして、一人当たりの時給 s がこれを超えなければ、わざわざ役所で h 時間待つかいがある訳だ。一年に 250日、毎日 8 時間働くとして、年に 2000時間。だから年収は 2000s。

年収 < (12000(n+m) + 8000m)2000/n/h

が目安になる。

さて、n=1, m=0 の独り者では、役所に半日並ぶとすると、h=4 なので手取り600万が上限。これ以上の手取りの方は4時間並ぶくらいなら働いていたほうがよろしい。うっ、これは、、、低くないかい?

次に、2人夫婦で2人子供がいる良くある「一般的な家庭」ってのを想定すると、 n=2, m=2, h=4 なので、右辺は 1600万。1600万以上年収がある人は、役所に行くのが面倒になることになる。が、これは共働きで夫婦それぞれ 1600 万の年収ってことだから、家庭全体で 3200万!その上、給付金は非課税だろうから、収入も手取りで比較してあげなきゃいけない。少なく見積もって 1/4 を税金なんかで取られてるとすると、4/3 倍すれば、4200万強。ということは、一般的な構成の家庭(n=2, m=2)では、年収4000万までは、夫婦で午後は一緒に半休を取って役所に並べば、仕事するより得になる。この計算、残業は考えてない(さらに時給sが減るからもっと稼いでいても良い)。そもそも夫婦共働きで同じ給料というのはあまりないかもしれないので、片方が主婦、主夫をしているとすると、見掛けの時給は2倍になるので、年収2000万までになる。

今度は逆に、1500万以上の世帯所得の(手取りは適当に計算して1125万以上)ある人たちが、メンドクセー、役所なんか行ってられるかという待ち時間を計算してみる。

  • n=1, m=0 の場合、2時間8分
  • n=2, m=2 で共働きの場合、5時間40分。最強。
  • n=2, m=2 で片方主夫、主婦の場合、2時間50分

例によって独り者は馬鹿を見る制度のようです。

ということで、真ん中の例はちょっとアレなので、各役所は各人4時間も待たせれば政府の目標を達成できそうだ。

しかし、しかし、ここまでは全て、nに入る人々は必ず役所に行って待たなきゃいけないという条件の元でのお話。もし、一世帯で一人が全員の手続きをできるとなると、収入に偏りがある場合、収入の低い人が一人で手続きに行けばすごく効率が良くなる。もし失礼を承知で主婦、主夫の内助の功を無視したりすると、時給0になるので、、、どんなにパートナーが稼いでいたとしても、これは絶対手続きに行ったほうが得。当然ですね。んで、独り者は、、、また貧乏くじを引くわけだ。

というわけで、政府の目論見どおりの給付金支給を行うためには、

  • 絶対週末に手続きはさせない
  • 子供老人を除き必ず本人が手続きする
  • 子供老人が多い世帯の手続き程時間がかかるようにする

ことが必要になる。これは酷い(笑)。

でも、有給で半休(h=4とすると)取れば、この議論は全く意味がなくなるね。というわけで、役所に行く交通費が12000円とかかからない限り、辞退する理由は全くないというのが結論だ。

追記

今ニュースでやっていた生太郎首相のインタビューによれば、収入の限界は設けずに、各人の奥ゆかしさに委ねるらしい。私は底の浅い人間なので、午後有給を取る事にした。